先生インタビュー 高 峰(ガオ フェン)

環境に優しいバイオマス燃料を利用した
イチゴハウス用加温機の開発
プロフィール

工学部 総合システム工学科 機械工学系

高 峰(ガオ フェン) 教授・博士(情報工学)

中国の河北省出身(北京市の隣)。子供の頃は携帯電話も電子ゲームもなく、近所まで白黒テレビを見に行った記憶があります。アニメ「鉄腕アトム」が大人気でした。キットなどはないが工作が大好きだったため、材料探しから製作まで夢中になって行っていました。自作の駆動用直流モーターが初めて稼働した感動は今でも覚えています。
大学では、大量生産に欠かせない金型に魅力を感じ、金型の設計製造技術を学びました。大学卒業後は、ものづくり技術が世界トップレベルの日本に憧れ、日本の企業に就職して半導体用金型の設計開発を行いました。その後、研究のため大学院に進学し金型関連の研究や情報技術を学び、「情報工学」の学位を取得。当時から人材育成もできる大学教員は最もやりがいのある業種であると感じていました。
しばらく民間会社の研究の仕事をしましたが、西日本工業大学で教員になり、現在は教授として若い学生諸君と共に頑張っています。
現在も、金型関連の研究を続けており、主にプレス金型やプラスチック素材を成形する射出成形金型の新技術に取り組んでいます。CAD/CAE/CAMと呼ばれる設計加工の研究を行い、IT技術を活用して、3次元設計、切削加工の効率化・高精度化を目指しているところです。
この他、近年の地球温暖化や環境問題に関連して、バイオマス燃料の農業ハウス用の加温機も開発しています。

研究内容

エネルギー問題を見つめ直すことから見えてきたハウス農家の現状

近年、電気や重油などエネルギーの価格上昇やグリーンエネルギーの開拓指向から、木質ペレットや木材チップなどのバイオマス燃料の利用が注目されています。イチゴの栽培には、冬と春の時期にはハウスを加温する必要があります。現状において、イチゴ農家は加温設備に重油を使用するのが一般的ですが、燃料費の高騰や環境汚染、また手動での操作の煩雑作業は問題になります。本研究は省エネ、低コスト、環境に優しい、操作簡単なバイオマスを利用した加温機の開発を目標とします。

自動制御機能を備えた未来型加温機の開発

本研究のきっかけは豊前市にあるイチゴ農家の方から、コスト面や環境面など運用について相談を受けたことから始まりました。そこで本研究室では、高効率の加温機(燃焼送風機構)の開発から着手しました。加温機は上方に設置したファンによる強制吸気を行い、熱交換器を経由して、加温機の両サイドから温風を排出します。熱源は、代表的なバイオマス燃料である木質ペレットを燃焼させることで生成します。燃料の供給については燃料フィーダーを製作し、スクリューコンベアによって加温機内に設けられた燃焼室に木質ペレットを自動供給させます。その際当然温度管理という考え方が必要になってきます。ハウスの温度変化により木質ペレットの燃焼状態を制御し、燃料フィーダー内に充填した木質ペレットの必要量を自動的に調整しながら供給します。現段階は3次元設計が完成しており、現在実験用機の製作を行っているところです。

研究課題および今後の展開について

本研究は農家の作業量を低減するため、ハウスの現場を基本的に無人化することを目指しています。そのためには、温度センサー、監視カメラなどの情報収集設備をハウスに設置し、逐次状況を無線通信ネットワークを通して、自宅などの管理室に送り、同時に稼働指令を受けるといったシステムの構築が必要になります。遠隔操作・省力・省エネ・環境にやさしい温室の加温設備として、未来型の加温機の実現に向け一つひとつ研究課題をクリアしたいと思います。

先生の必須アイテム

#01静電容量無接点式キーボード

10年以上使っていました。パソコンは何世代も更新しましたが、キーボードは変わっていません。ユニークなキー配置になりますが、使い慣れていると、手の一部になり、しっとりとした打ち心地と軽快な入力ができ、高速タイピングの爽快感は最高です。効率的な仕事に欠かせないものです。

#02古い鋳造コーヒーミル

(製造年代不詳、生産国不明)
中古市場から購入しました。一部のパーツが故障しましたが、自分で修理してから使い始め、いまは、 手放せないものになりました。重量感のあるホイル・ハンドルを回し、豆挽きの香りが倍増、豆から作った濃いコーヒーを飲みながら,研究課題を考え、アイデアが生まれくる気がします。

#03赤と黒のインクペンセット

細い字が書けるので、行間にコメントを入れることができます。いつも学生諸君のレポートの傍注や論文訂正などに使っています。昔の筆記用具のイメージもありますが、ペン先からインクがスムーズに流れ、文字や図形になり、「学問をしている」感じがします。

受験生へメッセージ

西工大には皆さんが成長できる環境があります

まず、受験生の皆さんに伝えたいのは、勉強が本当は楽しいということです。当然、覚えなければならない内容や面倒な計算などがありますが、努力してそれをクリアすると知識は自分のものになり、原理や仕組みを理解した時の楽しさ、またそれを駆使して問題を解ける達成感を味わうことができます。

次に、好奇心、挑戦意識、目標設定はとても大切なことです。好奇心は学習の意欲に繋がります。挑戦意識は自分が考えたことの現実化、新しいものが生まれてきます。そして、適切な目標設定は、自分のステップバイステップの成長に非常に有効な方法になります。大学に進学後、自己管理、自主的な勉強が要求され、その意識はもっと重要になってきます、高校生の時からも自己トレーニングしましょう。

高校教育は決まっている内容の勉強は殆どですが、大学では細分した専門があり、特に研究室に入ると、自分が好きなことについての勉強や研究ができます。

西日本工業大学では、実践力の高い人材の育成が得意で、社会のニーズが高く、ユニークな研究を沢山実施しています。高校生の皆さんはまず受験して、入学後、学生の個人状況に合わせた指導を受け、きっと自分の特長を活かして充実感のある大学生活を送ることができると思います。皆さんが、本学を選んで頂き、自分にとって最も相応しい大学教育を受け、社会に必要な人材になり、将来の夢が実現することを期待しています。