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先生インタビュー 石垣 充

安心を“魅せる” 制震装置付意匠壁の研究
プロフィール

デザイン学部 建築学科

石垣 充 教授・博士(工学)

北海道の小樽市出身。子供時代は小樽運河を徘徊するのが好きで、スケッチしたり少しマセた少年時代を過ごしました。
大工になりたかったのですが当時は方法がわからず、まずは大学に進学して建築意匠の分野を学びました。大学卒業後は設計事務所に勤務、設計事務所共同主催し、秋田公立美術工芸短期大学准教授を経て西日本工業大学に勤務。
現在は、木を使ったプロジェクトを進めており、建築設計、プロダクトデザイン、家具デザインや執筆等を行いつつ、休日はテニスプレーヤー(自称)として活動しています。

研究内容

「制震ダンパー」が私たちの暮らしを地震から守っている

国内で大きな地震が頻発する昨今、新築、改築問わずに地震時の揺れを吸収する「制震ダンパー」を設置するケースが増えています。「制震ダンパー」は、地震時に揺れを70%吸収軽減する性能を持っており、国内メーカー各社は、制震ダンパーを利用した様々な商品を展開しています。しかしながら、地震から暮らしを守る「制震ダンパー」は壁の中に設置されているために、生活者がそれを目視することはほぼ無い、といってよいでしょう。

「地震から守られる」という意識が変わる

私たちの暮らしを地震から常に守っている「制震ダンパー」は目に見えないため、いつの日か設置した事さえも忘れてしまうのではないかと思われますが、その安心感を常に目にすることはひとつの意味を成すと私は思っております。例えば、学業のお守りを購入しても、勉強机の引き出しの中に入れっぱなしでは、いつの日か学業への向上心は薄れ、初心を忘れてしまいがちになるのではないでしょうか。それと同様に「制震ダンパー」も日常に見えることで生活者は『地震から守られる』という安堵を感じる事ができるのではと思い、暮らしの中に「見せる安心」をデザインしようと考えました。

研究課題および今後の展開について

「制震ダンパー」は、自動車のショックアブソーバーとしても用いられ、ダンパ−そのものの形状は機械的な美しさを擁しています。今までは壁の中に埋もれ、人の目に触れる事の無かった美しい「制震ダンパー」の接続合板を家具や意匠性を持たせた壁面にデザインすることで、暮らしの中に「制震ダンパー」を常に美しく見せることが可能となりました。現在では、色々なパターンの合板に対するデザイン検討および加震実験を繰り返しながらの研究が始まりました。このように「制震ダンパー」を『見せる』という視点は、従来の研究には見られず、意匠面・技術面という両面性によって、⽇立オートモティブシステムズ株式会社と江⼾川⽊材工業株式会社との共願により特許申請に至りました。
この商品は既存のビル(建物)に付加(アンド)することで安堵感も付加しようという『ビルアンド』というネーミングで、日本だけでなく世界へ安心を発信していこうと、これからも企業と連携し、様々な実験を繰り返しながら商品化を目指しています。

先生の必須アイテム

#01筆ペン(薄墨)

スケッチするときに便利です。ユルい感触が好きです。

#02ペンポケットホルスター

自分でデザインした筆記用具ホルダーです。

#03プリンスツアーグラファイト

昔のラケットです。腕にやさしいのが気に入ってます。

学生へメッセージ

自分の「好きなこと」を見つけてみよう
自分で進学先を決めることが大事かと思います。僕のインタビューを読んで鵜呑みにしないほうが良くて、あくまで自分の好きなことについて良く考えてみるといいです。好きで楽しいことが、大学でもさらに面白くなって、そして興味がつづくように願ってます。