先生インタビュー 石垣 充
デザイン学部 建築学科
石垣 充 教授・博士(工学)
北海道の小樽市出身。子供時代は小樽運河を徘徊するのが好きで、スケッチしたり少しマセた少年時代を過ごしました。
大工になりたかったのですが当時は方法がわからず、まずは大学に進学して建築意匠の分野を学びました。大学卒業後は設計事務所に勤務、設計事務所共同主催し、秋田公立美術工芸短期大学准教授を経て西日本工業大学に勤務。
現在は、木を使ったプロジェクトを進めており、建築設計、プロダクトデザイン、家具デザインや執筆等を行いつつ、休日はテニスプレーヤー(自称)として活動しています。
研究内容
「制震ダンパー」が私たちの暮らしを地震から守っている
「地震から守られる」という意識が変わる
私たちの暮らしを地震から常に守っている「制震ダンパー」は目に見えないため、いつの日か設置した事さえも忘れてしまうのではないかと思われますが、その安心感を常に目にすることはひとつの意味を成すと私は思っております。例えば、学業のお守りを購入しても、勉強机の引き出しの中に入れっぱなしでは、いつの日か学業への向上心は薄れ、初心を忘れてしまいがちになるのではないでしょうか。それと同様に「制震ダンパー」も日常に見えることで生活者は『地震から守られる』という安堵を感じる事ができるのではと思い、暮らしの中に「見せる安心」をデザインしようと考えました。
研究課題および今後の展開について
「制震ダンパー」は、自動車のショックアブソーバーとしても用いられ、ダンパ−そのものの形状は機械的な美しさを擁しています。今までは壁の中に埋もれ、人の目に触れる事の無かった美しい「制震ダンパー」の接続合板を家具や意匠性を持たせた壁面にデザインすることで、暮らしの中に「制震ダンパー」を常に美しく見せることが可能となりました。現在では、色々なパターンの合板に対するデザイン検討および加震実験を繰り返しながらの研究が始まりました。このように「制震ダンパー」を『見せる』という視点は、従来の研究には見られず、意匠面・技術面という両面性によって、⽇立オートモティブシステムズ株式会社と江⼾川⽊材工業株式会社との共願により特許申請に至りました。
この商品は既存のビル(建物)に付加(アンド)することで安堵感も付加しようという『ビルアンド』というネーミングで、日本だけでなく世界へ安心を発信していこうと、これからも企業と連携し、様々な実験を繰り返しながら商品化を目指しています。