先生インタビュー 羅 承賢
デザイン学部 建築学科
羅 承賢講師・博士(工学)
韓国江原道東海市出身。人の前で自分の意見を立てることが難しい内向的な学生だったと思います。 そこで自分の考えを表現するために、文字で書く練習を行っていました。様々な課題に対しても文章で書く練習をすることで、課題について整理することができ、さらに自分の理解度を確認できるということに気がつきました。これをきっかけにメモをする習慣が身に付き、今でも様々なアイディアをメモして保管する習慣があり、これが研究のアイディアや進め方にもつながっています。高校生の頃は化学の授業が好きで、特に実験の授業が好きでした。そこで化学工学科に進学し、無機工学(セメント化学)について勉強するようになりました。修士課程でもセメント化学を専攻し、セメントの水和反応に関する研究を行いました。
これまで培ってきた経験を活かし、よりスケールの大きい建築工学科の博士課程へ進学する決心をしました。化学から建築という新しい分野への挑戦は困難な場面も多いですが、試行錯誤を繰り返し、他には代えがたい大変意義のある経験となりました。建築工学博士を取得した後、日本のセメント企業で6年間研究員として在籍し、建築・土木分野の製品開発業務を担当していました。
その後、東京の大学の研究所で2年間研究を行いました。大学の研究員として学生の指導を経験する中で、教えることにやりがいを感じて、大学教授への道を目指し、2022年4月に西工大の教員として着任しました。
研究内容
もみ殻由来の高純度シリカを用いた建築・土木材料の開発
環境に優しい高炉スラグ微粉末とフライアッシュを用いた建材の開発
この研究では、非晶質シリカを有する高炉スラグ微粉末が、ボイラー灰由来の水酸化カルシウムと反応してC-S-Hゲルを作ることで、強度を増進することに着目しています。以前、土木系材料である、鉱山用の気泡コンクリートの開発を行い、実現場においても優れた性能を有していることが認められました。現在は、無筋コンクリートを対象として研究を進めています。
統計手法による材料比率の最適化およびコンクリートの性能予測
この手法を用いることで、影響因子の相関関係や、最適な材料の製造条件を見出すことが可能となります。また、セメントの物性を予測するモデリングツールを使用して、コンクリートの強度の予測を行っています。これにより、実際に測定をせずにコンクリートの耐久性を予測することが可能です。