西工大 チャレンジ授業平成筑豊鉄道「油須原駅」のリニューアル式典について
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2022年2月10日(木)、福岡県田川郡赤村にある平成筑豊鉄道の田川線油須原駅のリニューアル式典が開催されました。
この田川線(行橋~伊田)は1895年8月、近代化を目指す明治政府の掛け声に呼応して設立された豊州鉄道が豊前国8郡の交通と田川地区の石炭輸送とを目的として最初に開通させた路線です。油須原駅は開業当初からある駅で九州最古の木造駅舎とも言われ、2007年に映画化されたリリー・フランキー氏の小説「東京タワー~オカンとボクと時々オトン~」の映画のロケ場所となり注目を浴びました。
この路線の駅については、地域連携の一環としてデザイン学部 建築学科の石垣研究室が中心となって地域特産の京築ヒノキなどを活用して、毎年一駅ずつリニューアルを行っています。今回の油須原駅は由緒ある駅ですが資料が散逸していたため、過去の写真などを参考に外観を開業当時の佇まいに近づける努力や「懐かしい」をキーワードに木質の建具やレトロ調の灯具(LEDライト)を再現するなど工夫されています。また、地域交流や観光拠点になるよう、本学が企業との共同研究で開発した最新の制震技術を内部の部屋に取り入れ安全面にも配慮がなされています。
今回のプロジェクトが特徴的なのは学内の取り組みの輪が広がったことです。建築史が専門の水野研究室が駅の実測調査に新たに加わったほか、手押し車を使ったコンクリート基礎工事には工学部の土木工学系の学生と教員が参加しました。機械工学系の教員も駅で使う電力を小水力や風力、太陽光発電で賄う取り組みに着手し、将来的には電気工学系の自然エネルギーの安定供給技術なども加え、カーボンニュートラルの実現にも挑戦します。
行橋駅から油須原駅までは、英彦山から流れ下る今川沿いの風光明媚な田園地帯を走っており、沿線には多様な果物類に加え酒蔵や黒田官兵衛ゆかりの馬ケ岳城址などもあります。今後、発想がやわらかな情報デザイン学科の学生なども巻き込めば、田川線沿線を全国区の観光地にできるかもしれないという「大学発の夢」が膨らんだ油須原駅のリニューアル式典でした。