新着情報 2024年度 JKA補助事業の成果公表について(工学部 古門准教授)
本事業は2024年度JKA補助事業「2024年度 ICTを活用した女性の継続的な運動実施の支援と効果検証 補助事業」(2024P-422)により実施されています。
工学部 総合システム工学科 古門良亮 准教授の研究成果を公表いたします。なお、「競輪」の補助事業となっております。
ICTを活用した女性の継続的な運動実施の支援と効果検証 ~バーチャルサイクリングが生理・心理指標に与える影響に関する実証研究~
近年、女性の運動実施率が減少傾向にある。その要因として「仕事や家事が忙しいから」、「場所や施設がないから」といった理由があげられる[1].そのため場所や時間を問わず、スポーツを楽しめる環境づくりが求められる。
そこで、屋内で安全に運動することが可能な自転車エルゴメーターに注目した。先行研究では、自転車エルゴメーター駆動中にディスコ音楽を用い、音楽なしの場合と比較して、呼吸循環器系の影響はみられないが、主観的運動強度(RPE)が有意に低くなったとする報告もある[2]。
しかし、自転車エルゴメーターは単調な運動であり、長時間続けることが難しく、モチベーションを保つためには、音楽や映像コンテンツを取り入れるといった工夫が必要となる。また、先行研究ではVR(拡張現実)技術を用いて、自転車エルゴメーター駆動を行った場合でも、VRの映し出す映像によってはRPEに影響を与え、映像なしの場合と差が生じている。さらにRPEを決定する大きな要因となりうる心拍数も、心理面への影響により変化する可能性もあり、VRや映像提示といった刺激による呼吸循環器応答や心理面の差異についてはさらに検討する必要がある[3]。
このように、運動中の身体機能の変化や心理状態の変化を明らかにすることで、バーチャルサイクリングの有効性を科学的に示すことができる。また、時間・場所を問わず気軽に実施できる運動として、環境構築や女性のスポーツ機会の増加にも繋がると考えられる。
バーチャルサイクリング運動と従来の自転車エルゴメーター運動の違いを客観的指標である心拍・脳波と主観的指標であるRPEを用いて明らかにすることを目的とした。本事業では、バーチャル環境下における運動の効果を科学的に明らかにし、特に女性の運動実施率向上に寄与する環境構築の一助となる知見を提供することを目指した。